ジェシカ・ラング オーランドバレエ団
2016年、私の妻であり振付家のジェシカ・ラングは大忙し!
オーランドバレエ団 (フロリダ州オーランド)
シンシナティバレエ団 (オハイオ州シンシナティ)
バレエウェスト (ユタ州ソルトレイク)
新国立劇場バレエ団 (日本、東京)
バーミンガムロイヤルバレエ団 (イギリス、バーミンガム)
パシフィックノースウェストバレエ団(ワシントン州シアトル)
アメリカンバレエシアター (ニューヨーク州ニューヨーク)
以上のバレエ団が今シーズン、ジェシカの振付作品を上演する予定であり、そのうちパシフィックノースウェストバレエ団とアメリカンバレエシアター(秋のリンカーンセンター公演)は世界初演作品となる。
ジェシカが振付を始めた1999年からずっと彼女の創作過程に携わりサポートしてきた私にとって、今年もアメリカ国内外多くのバレエカンパニーにて彼女の作品が上演され、彼女の想像力と創造力、ジーニアスネス溢れる美しい作品の数々が上演されることに、非常に大きな喜びを感じる。
2016年、その始めのカンパニーとして、オーランドバレエ団のリハーサルに私もアシスタントとしていってきた。
オーランドバレエ団はかつてあのフェルナンド・ブフォネス氏が芸術監督であったカンパニーであり、現在は元アメリカンバレエシアターのプリンシパルダンサーでおられた、ロバート・ヒル氏が芸術監督を務める。ロバートさんとは昔から親交があり、もう10年以上前のこととなるが、彼がメキシコのモントレーバレエ団の芸術監督をされていたときも、ジェシカの作品を迎えてくれた。ジェシカと二人でメキシコにいき、英語の全く通じないダンサー達に身振り手振りで振付指導をしたのが、今見返すと笑ってしまうが、とてもいい思い出として残っている。
アメリカ他のバレエ団同様に、オーランドバレエ団もアメリカ人のほかに、ブラジル、キューバ、プエルトリコ、ポルトガル、ハンガリーなど様々な人種で構成され、個性溢れるダンサー達でとてもいいエネルギーが流れている。アジア人ももちろん、韓国人ダンサー、そしてもちろん日本人ダンサー達!が在籍して、アジア人ダンサーの美しさをカンパニー内で存分に表現している。
日本人ダンサーは2000年入団し、ベテランプリンシパルダンサーのヤスカワ・チアキさん、そして2013年入団のナカムラ・ヒトミさんの二人である。ヤスカワさんは90年代の終わりにニューヨークのシティバレエ団付属校スクールオブアメリカンバレエで勉強されていて、当時エイリーの学生であった私も一度会ったことがあり、今回15、6年ぶりの再会となった!今回の公演では、彼女はロバート・ヒル氏振付「火の鳥」でも主役を務め、私もリハーサルを拝見させてもらったが、確かな技術と力強い表現力を持ち素晴らしい踊りを披露していた。90年代後半からアメリカで活動する同世代の日本人ダンサーとして、今回こうして再会でき彼女の踊りを観れたことは、私にとってとてもいいインスピレーションとなった。
面白いのは今の時代どこのカンパニーにいっても必ず日本人が在籍していて、イギリスのバーミンガムロイヤルバレエ団であろうと、アメリカ各地のバレエ団あろうとジェシカの作品には必ず!っといっていいほど、日本人ダンサーがキャスティングされている!ジェシカ自身日本人が大好きであることはもちろん、その踊りに取り組む真面目な姿勢だけでなく、日本人にしかない繊細なアーティスティックな要素が彼女の作品に必要とされると感じている。その証拠にという訳ではないが、ジェシカ自身のカンパニー「ジェシカラングダンス」にも木村佳奈さんという素晴らしいダンサーがいるのも事実である! 今回オーランドバレエ団でも、ヤスカワさん、ナカムラさん、そして韓国人ダンサーのジンホ・ウオンさん3人のアジア人ダンサー達が、もちろんジェシカの作品に選ばれていて、踊ってくれている。
作品は「To Familiar Spaces in Dream」。2005年の初演時に私も携わった作品であり、リッチモンドバレエ団で初演された。ジェシカがピアノの白い鍵盤からアイデアを取り、セットとして舞台上に白いボックスがいくつかならび、ダンサー達がそれを動かしながら展開していく、とても美しい作品である。
オーランドバレエ団の本公演の初日は2月5日!


湖が目の前に広がる、オーランドバレエ団スタジオ


2005年リッチモンドバレエ団による 「To Familiar Spaces in Dream」