シティーセンター公演2019-2
今シーズン最大の出来事は、副芸術監督である茶谷正純氏がこれをもってご勇退されるということである。1972年に入団されてから、アルビン・エイリー氏の絶大な信頼を得て、現在まで実に47年間!!エイリースピリットを継承されてこられた第一人者である。その茶谷さんが引退されるということは、今年61周年を迎える私達カンパニーにとって一大の出来事であり、歴史的瞬間である。

私自身、1997年春にエイリー公演が東京で開催された際に、東京国際フォーラムの楽屋に初めて茶谷さんを訪れた事を思い出す。当時すでにその秋に在外研修員としてニューヨークに渡りエイリースクールに留学することが決まっていた私は、母と二人でお菓子箱を持って、茶谷さんにご挨拶に向かった。体からエネルギーが溢れ、笑顔で迎えてくださり、「カンジ、明日からカンパニークラスを受けにおいでよ!」と突然誘って頂いた。まだ英語もままならかった自分が、突然エイリーカンパニークラス、アメリカのスーパーダンサーたちの中に放り込まれ、緊張も緊張の中!ではあったが、茶谷さんの心温める包容力により早速貴重な機会を頂き、夢溢れた若かりしの私に大きな刺激を与えてくださった。またそれが私の夢であったエイリーカンパニーへの道、第一歩が始まった瞬間だった。あれから20年以上が経ち、茶谷さんとの思い出はたくさんあるが、特に私がメインカンパニーに入団してからのここ8年間は、毎日茶谷さんと仕事をし、世界を一緒に回り、茶谷さんによってアルビンエイリー氏のスピリットを感じることが出来たことは、何事にも変えられない幸せな時間であった。

12月21日午後7時30分。茶谷さんの引退特別公演が開演した。茶谷さんが50年近くに渡り手がけた振付の中から抜粋作品を選んで構成されたスペシャルプログラムとなった。が、何よりも特別だったのは往年のスターダンサー達がこの日、茶谷さんのためにアメリカ中から集まり、踊り祝福したのである。私が入団してからも時折特別公演はあったが、ここまでスケールが大きな公演はなかった!私たちの大先輩にあたるレジェンドダンサー達が勢揃い、私達にとっても夢のような舞台であった!レジェンド達の”熱い”踊り!を間近にし、みんな大感動。

この貴重な公演に私も全5作品に出演、本当はもっと様子を写真に撮りたかったのだが、衣装替えと踊ることで流石に大忙しであった!最後は舞台上で茶谷さんの最後のカーテンコール、出演者全員が花束贈呈。茶谷さんは最後まであの笑顔が絶えず、本当に幸せそうであった。多くの感動と涙、そして笑顔で幕を閉じた。茶谷さんに最大の敬意を込めて、素晴らしい公演をプレゼント出来たと思う。これからエイリーカンパニーがその歴史を刻んでいく中で、アルビンエイリー氏のスピリットと共に、茶谷さんのスピリットが永遠に生き続けて行くことであろう。茶谷さんお疲れ様でした!

今年もたくさんの家族と友人、エイリースクールで頑張っている日本人ダンサー達、皆さんが応援にきてくれた。中でも特別だったのは、私の高校時代の親友が、20年以上ぶりの初めて私の公演を観にきてくれたことだ!高校時代に、東京で発表会などには必ず見にきてくれていた友人が、なんとニューヨークに転勤が決まり、今秋ニューヨークに家族と共に転居、今回初めてプロとしての私の踊りを見にきてくれた!普段世界中のお客様の前で踊っているが、自分の原点を知る日本の親友が今の晴れ舞台を見てくれたということは、自分にとって本当に特別なこと!なんとも言えない感動があり、本当に嬉しかった!